
アンティークパネルの修理のご依頼です。周りの鉛線が一部外れているとのことでご相談いただきました。写真を拝見したところ、完全に白化して腐食していたので、鉛線の交換とクリーニング&メンテナンスをご提案しました。

鉛線を切り離して、古いパテを掻き出します。パテは鉛線とガラスの隙間を埋めることで防水をし、ガラスのがたつきを抑えて強度を上げる働きがあります。しかし、パテは古くなってカチカチに固まると、やがて隙間から脱落してしまいます。そのため、アンティークパネルはがたつきが多く、パネル全体の強度が足りないものが多く見受けられます。

新しい鉛線に交換し、脱落したパテを充填、クリーニングとパティーナ仕上げ(※新しい金属部分を周りに合わせて黒くする処置)を行いました。

このパネルには、昔の修理跡がたくさん残っていました。赤〇は鉛線をめくり上げてガラスを交換した跡です。よく見ると、透明なガラスはそれぞれ微妙に凹凸が異なります。おそらく、もともとは全体が青〇の部分のガラスであったと思われます。可愛らしいデザインなので、きっと修理を続けながら大事にされてきたのでしょう。

鉛線を交換し、パテもきっちり補充したので、立てかけても歪まないくらい丈夫になりました。これでまた、安心して長く楽しんでいただけると思います。